セラミックバレーの名の下に吹き抜ける新たな風
第74回 たじみ陶器まつり” あたらしくて、おなじ日々を。”に寄せて
陶磁器の一大産地である岐阜県南東部に位置する東美濃エリア。1300年の歴史あるやきもの産業と文化が根付くこの地域は、受け継がれてきた文化と技術に、時代をとらえた柔軟性と多様性を融合させ、 世代を超えたさらなる挑戦と創造の系譜を宿しています。やきものを柱に、地域、環境、地球、そこに生きる人たちの想いなど様々なモノやコトを含む大きな大円団は、これからより強固な一枚岩となり、世界に憧れられる街に変貌を遂げるべく未来に向けた挑戦が始まっています。
クリエイティブ・ディレクターに佐藤卓氏を迎え「セラミックバレー」と新たに名付けられたこの地は、新しい歴史の1ページを今まさに開こうとしているのかもしれません。セラミックバレーの一つである岐阜県多治見市では、毎年春に陶器まつり、秋に茶碗まつりを何十年と開催し続けておりましたが、昨年はコロナウィルス感染拡大防止を理由に中止の判断が下されました。コロナウィルスがもたらした闇は産業の衰退、文化の低迷といったネガティブなことが多く取り沙汰されますが、その中で多治見の魅力を再発見、再認識し、全域の魅力を集結し今こそ立ちあがろうというきっかけも生みました。
今年からは春と秋の両おまつりと多治見全域の各地の個性を活かしながら新生「たじみ陶器まつり」としてイベントを統合し、春と秋、年2回の開催となることが決まり動き出しています。今は小さな灯火かもしれませんが、いずれ大きな大火となり、街全体を覆い尽くしていくかもしれません。大地の恵を受け、炎を燃やし、火を付けていくのはやきものだけではなく人々の心なのかもしれません。その中心で何が起きているのか、これからどのように変わっていくのか、まずは第74回「 たじみ陶器まつり 」にてこれからの価値を創造する小さな一歩を踏み出します。皆様、どうぞこれからも変わらぬ御愛顧、御声援を何卒お願い申し上げます。
たじみ陶器まつり実行委員会